月刊・デンタルニュース

(平成25年4月号)

前号ではとても硬い歯にも、ひびが入ることをご紹介しました。今月は50歳以降に多くみられる『歯根破折(しこんはせつ)』という、歯の根っこのひび割れについての情報をお届けします。
健康な歯はもちろんのこと、軽度なむし歯治療をしたぐらいで、歯の根っこがひび割れることなどほとんどありません。歯根破折は、ひどいむし歯のために、やむを得ず歯を大きく削って歯質が薄くなった上、神経を取った歯に多くみられます。現在でも抜歯の二大原因はむし歯と歯周病ですが、最近は神経を取ってから10年以上経過した歯の歯根破折が原因となって抜歯する割合が増えてきました。

歯の根っこが割れる!?

歯の神経を取るということは、歯へ栄養を送る細かい血管まで取ることになるので、歯は除々にもろくなります。さらに次のような要因が重なると歯根破折を起こしやすくなります。
①根っこを取った後、被せ物をするための土台を金属で作成した場合、噛むときに根っこの特定の部位に集中して過大な力が加わる。
②うっかり硬い物を“ガリッ”と噛む、就寝中の歯ぎしりや無意識に歯を食いしばる。噛み癖は、社会的地位や立場等によってストレスが増えることにも関連している。

どんな症状があるの??

折れた部分には細菌感染が起きていることが多いので、既に神経を除去している歯でも噛んだときに違和感や痛みを感じます。その他には、歯がぐらつく、歯ぐきが腫れる、歯ぐきにおできのような膿の出口ができるといった症状がみられます。

治療法は?

根っこの破折の程度と炎症の状態によって適切な治療方法を選びます。破折や細菌感染による炎症が小さい場合、再度根っこの処置をして歯を残す治療を行います。しかし破折や炎症が大きい場合や破折してから長期経過している場合は、残念ながら抜歯することになります。抜歯した箇所は入れ歯やブリッジ、インプラントで歯を補います。

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