(平成27年4月号)

今月は『ブラキシズム』について紹介したいと思います。
咀嚼は脳血流量を増加させて認知症の予防に効果があります。歯をぐっと食いしばれば重い荷物を持ち上げることができます。摂食以外にも噛むことことはとても重要な役割を担っていると言えます。ところで上の歯と下の歯は一日どれくらい接触して いると思いますか?食事やスポーツ等、様々な場面を考えると常に接触しているのが当たり前だと思うかもしれません。しかし実は違うのです。上下の歯の間には2mm位の隙間があくのが安静時の正常な状態であり、驚くことに1日にたったの17分しか接触していないのです。歯ぎしりや食いしばりのことを医学的にブラキシズムと言いますが、その頻度や強さ、持続時間によっては、歯や身体の病気の原因となります。

1.ブラキシズムで重大な問題が発生!!

人間の噛む力は40~60kg、自分の体重ほどもあります。食事の際はその1/2~1/4程度の力で自然と加減をしながら噛んでいます。 ところが睡眠中や何かに夢中になっている時のブラキシズムは、加減なく噛み込むことがあり、さらに1日10時間以上も食いしばっている人もいます。そのため知覚過敏、ひびや破折、詰め物が取れる、むし歯でないのに噛むと痛い、歯周病が急速に悪化する、顎関節症、肩こり、頭痛等の原因となります。

2.自分では全く気付かない?

歯ぎしりは睡眠中にガリガリと音を出すものが思い浮かびますが、音の出ない食いしばり型の方が多く、起きている時も無意識に噛み込んでいます。どちらも自分では気付かないのでやっかいです。例えば、
①上下の歯の噛み合わせ面が平らに摩耗している
②頬の内側の粘膜や舌に歯の圧痕や白い線がある
③上顎や下顎の内側に骨の出っぱりがある
④ストレス・ひどい肩こり・頭痛がある
⑤朝起きた時に口の周りがこわばっている
ということはありませんか?ブラキシズムかもしれません。

3.原因はストレスと癖 その対策は・・

睡眠中のブラキシズムはストレスが主な原因です。交感神経が興奮した状態では顎の筋肉が過緊張して噛みしめてしまいます。
①深呼吸をする
②仕事や人間関係等を考えない
③パソコンやスマホを見ない
等、就寝前にリラックスするように心がけてください。そして枕を低くすることで頭が上を向き口が自然と食いしばりにくくなります。またマウスピースを装着することで、就寝中の噛み込みを軽減する方法もあります。(歯科で型を取って作成します。)
日中の食いしばりは習癖、つまり“癖”が原因です。何かに夢中になっている時、例えばパソコン、運転、掃除や料理等々。日中の食いしばりに対しては、普段から意識して注意することです。例えばパソコンのモニターに「歯を離す」と書いたメモを貼って、気付くようにする、行動療法が効果的です。ちなみに小児にみられるブラキシズムは歯の生え代わり時にみられ、新しい永久歯の咬み合わせ調整するたえめに行われるものなので、特に問題はありません。

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