(平成27年6月号)

今月は『詰め物』についてのご案内です。
平成26年の学校保健統計調査では、12歳の1人当たりのむし歯本数が初めて1本を下回る0.99本でした。 平成6年には4.00本でしたから、この20年で大幅に減少しました。歯磨きやむし歯予防等の保健指導によって、 親世代の意識が高まったものと考えられます。歯の健康状態は確実に良くなっていますから、将来的な8020達成率も期待が持てます。 ただし12歳を過ぎると、むし歯のある人の割合が増加する傾向にあります。親が子供の口の中を見る機会が減ること等が関係していると思われます。 もしむし歯になっても、早期に発見することができれば、むし歯を削った部分の穴に詰め物をする方法で治療回数も短く済みます。

1.初期のむし歯なら神経を残せる

詰め物を詰める治療の場合、むし歯が浅く歯の神経を残せます。歯に栄養を運んだりむし歯菌等が体内に入り込むのを防ぐことができるので、 治療後も健康な歯に近い状態を保てます。

2.詰め物の素材には一長一短が!

詰め物は様々な種類の素材があり、見た目、耐久性、費用等が異なります。むし歯の再発や破損、劣化等の問題がなければ、長期間外すことはありませんので、歯科医師の説明を参考にして、ご自身に合ったものを選んでください。

<費用負担の軽い保険適用の素材>

①コンポレットレジン…
レジンというプラスティックに、強度と透明感を出すためガラス等の粒子を混ぜたペースト状の素材です。 歯に詰めた後、強い光を当てることで硬化します。色が豊富で、歯の色味に近いものを使用できて審美性に優れていますが、 長年の使用で変色することがあります。また他の素材と比べると、すり減ったり割れやすいため、小さなむし歯の場合に使用します。
②金銀パラジウム…
3種類の金属からなる合金です。歯よりも硬い金属のため詰めた歯やかみ合う歯を痛めてしまうことがあります。銀色で審美性に劣り、金属アレルギーになることがあります。
③アマルガム…
昭和55年頃まで詰め物の主流として使用されていました。身体に有害な水銀を主成分とする合金のため、現在では使用されなくなっています。

<保険適用外で高価だが優れた素材>

①ゴールド…
適度に柔らかい金属なので歯を痛めることがなく、削った穴に隙間なく適合するため、むし歯が再発しにくい大変優れた素材です。 金属アレルギーも少ないのですが、審美性に劣ります。
②セラミック…
歯に最も近い素材です。透明感のある白色で、審美的に優れています。変色もアレルギーもないのですが、割れることがあります。
③ハイブリッドセラミック…
セラミックとレジンを混ぜた素材です。セラミックよりも柔らかいので歯への負担が少ない利点がありますが、多少変色する短所があります。

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