(平成28年2月号)

今月は「口腔ケアの効果」のご案内です。 介護保険制度がはじまってからまもなく16年が経過します。現在、歯科は口腔ケアという切り口で、要介護の方を 支える多職種の中の一角を担っていますが、これは過去に行われた3つの重要な研究結果によるものです。きっかけとなったのは 平成6年の調査で「生活自立度が低いと口腔状態が悪く、歯の本数が少ない等摂食機能の低下している方では、全身の健康状態が 悪く総医療費が高い」というもの。 次に平成8年の調査で「口腔機能が全身状況や日常生活度と密接に関連している」ことが明確となりました。 そして「口腔ケアが誤嚥性肺炎を予防・減少する」という平成13年の論文の3つです。

口腔ケアにはどんな効果がある?

口腔ケアと聞けば、今では誤嚥性肺炎の予防・減少という印象が強いのではないでしょうか。しかし口腔ケアは 誤嚥性肺炎だけでなく、要介護の方に対して様々な効果を期待できるケアの1つです。
①口腔内を清潔に保つことで、口腔内の細菌が原因で起こる肺炎の予防になる
②唾液の分泌を促進し、自浄作用により口臭を防ぐ
③むし歯や歯周病の予防になる
④咀嚼運動を行うことで脳が活性化する
⑤舌苔を除去することで、正しい味覚が戻って食欲増進につながる
⑥褥瘡の改善に効果がある
⑦下痢の改善に効果がある
⑧美味しい物を食べる事が生きがいにつながる
誤嚥性肺炎とならんで、寝たきりの方に注意が必要な褥瘡に対しても、有効な対策の一つとなります。 平成11年の「高齢者在宅口腔介護サービスモデル」で、褥瘡と下痢に対して、その有効性が認められています。。

褥瘡の改善効果

不十分な栄養は全身状態を悪化させるとともに、皮膚の組織の耐久性を低下させるため、褥瘡が発生しやすくなる要因の一つです。 口腔ケア(一部歯科治療を含む)により、栄養摂取状態が改善され、生活意欲の向上をもたらします。 その結果、褥瘡が治癒の方向に向かうものと考えられます。

下痢の改善効果

健康な歯がそろっている人に比べて、うまく噛めない人は海藻類や野菜を好んで食べる人が少ない為、下痢や便秘になりやすいと考えられます。口腔ケアにより、食生活が改善され、下痢の改善がみられたと思われます。

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