(平成28年9月号)

歯が抜けてしまうと急に噛みにくくなりますが、咀嚼能力はいったいどの位低下すると思いますか?健康な歯が全部そろっている 時と比較すると奥歯が1本ないだけで咀嚼能力はなんと約半分に低下してしまいます。2~7本の歯が欠損した人では3割にまで低下し、 喪失歯が8本を超えると、固いものを中心に噛むことのできない食品が急激に増加します。歯の欠損数が多くなると肉類や 野菜が食べにくくなるため、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミン類、鉄の摂取量が低下することが多くの研究で示されていて、 低栄養となる原因のひとつです。さて今月は、『咀嚼能力の回復』について、ご紹介したいと思います。

咀嚼効率とは?

咀嚼効率とは、どのくらい効率が良く咀嚼できるかを表す指標です。これはピーナッツや精米を一定回数噛んで、どの位細かく 噛み砕けているいるのかを調べるいうものです。実験試料がピーナッツや精米であることから、主に臼歯と呼ばれる奥歯の咀嚼試験であるとも言えます。

治療方法によって大きな差がある?!

抜けた歯をどのように修復(治療)するかによって、咀嚼効果は大きく変わります。修復の仕方は次の3種類があります。 健康な歯列を100%とした際の咀嚼効率の一般的な目安は下記となります。

【総入れ歯
定期的に調整をおこなっている場合で20%位、長い間調整をしていないと15%位です。

【ブリッジ】
健康な歯を削り支柱にします。欠損部分に橋(ブリッジ)をかけるようにして修復するものです。入れ歯より安定していて咀嚼効率は 70%くらいです。

【インプラント】
顎の骨に人工の歯根を埋めて、その上に歯を作る治療法です。咀嚼効率は90%位となります。保健対象外の自費治療となります。

総入れ歯でも咀嚼能力は回復している

治療するなら、最も咀嚼効率の高いものがいいと考えがちですが、残っている歯の 本数や位置、歯ぐきや全身の状態等によって、可能な修復方法が制限されます。要介護高齢者では、入れ歯による治療が中心となります。 入れ歯は咀嚼効率が低いことから、不安に感じられるかも知れません。しかし1999年に日本大学が行った調査によると、総入れ歯の 方の6割は、裂きイカやたくあんを食べることができるという結果でした。つまり実際には、ほとんどの食品を食べることができて、 日常生活の上で困らないレベルの咀嚼能力の回復に貢献しているというものでした。 高齢者の歯ぐきやお口の中の状態は、数ケ月単位で変化しますので、入れ歯は必ず半年毎に歯科医師に調整してもらうようにして下さい。

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