(2019年10月号)

最近は高齢でも実年齢より若く見える方が多くなりました。この見た目の年齢はその人の服装や姿勢、行動や仕草、髪型等が影響 すると言われ、特に目元、肌、口元で大きく差がでます。小林製薬が行ったアンケート調査では、歯ぐきが下がると9.8歳も老けて見える という結果でした。一見目立ちにくい口の中にも関わらず、歯や歯ぐきは周囲からは意外と見られているということです。歯ぐきが 下がることを専門用語では歯肉退縮と言い、歯の周りの組織が減り歯の根っこが露出して歯が長くなったように見える状態のことで 、審美的な問題だけでなく、むし歯や知覚過敏の原因にもなります。 そこで今月は『歯肉退縮』についてお届けしたいと思います。

■歯肉退縮の原因は・・・

歯ぐきは歯を支える組織の一つで60%がコラーゲンと言うタンパク質で構成されています。このコラーゲンは加齢によって 減少する傾向があるとも言われていますが、歯肉退縮の主な原因は歯周病と間違った歯磨きの2つです。歯の根っこ部分は 硬いエナメル質ではなくセメント質で覆われているため、歯ぐきが下がって露出すると削れやすくむし歯や知覚過敏の原因となります。 歯ぐきは徐々に退縮していくので、痛む・しみる等の自覚症状が出てはじめて気付く患者さんも少なくありません。

■最も危険な歯周病!!

きちんと歯を磨けていないと、歯垢や歯石が歯や歯周ポケットに溜まっていきます。その中で歯周病菌が増殖し、菌から産生される 毒素によって、歯を支えている歯槽骨が徐々に溶けてしまい、歯槽骨の上にある歯ぐきも下がってしまうというわけです。 さらに歯ぐきの主な構成物質であるコラーゲンを分解してしまう酵素が歯周病菌から産生されるため、歯ぐきの退縮が進んで しまうのです。歯槽骨の溶解も歯ぐきのコラーゲン減少のどちらも歯周病菌が原因です。歯ぐきが下がらないように歯周病 対策が必要です。

■その磨き方、ちょっと待って‼

歯周病やむし歯の予防にはしっかりと歯を磨くことが基本となります。ところがその歯磨きが要注意です。 実は汚れを落とそうと強い力でブラッシングをすると、歯ぐきを傷つけたりすり減ってしまいます。 また力を入れすぎると歯ブラシは前後左右に広がってしまい、かえって汚れが残ってしまいます。 歯垢は歯と歯ぐきの境目に多く付着しますので、その辺りを中心に歯ブラシを軽く当て、狭い幅で 小刻みに動かすイメージで磨くようにします。

■定期クリーニングとブラッシング方法

磨き残した歯垢はわずか1日で硬い歯石となって歯ブラシでは除去できなくなります。そのため定期的に 歯科衛生士による専門的クリーニングを受けることが大切です。また歯ぐきを傷つけずに汚れを落とす 正しいブラッシング方法は、歯科衛生士が指導しています。
お気軽にご相談ください。

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