(2020年1月号)

口臭の原因で最も多いのは口の中の汚れです。口の中の温度と湿度は細菌が繁殖するためには最も適した環境なので、食べかすや 古くなって剥がれた粘膜細胞が口の中に溜まると、増殖した細菌からにおいの元である揮発性硫黄物質(VSC)が大量につくられることになります。 このVSCの主な発生場所となる舌の上や、歯垢が付着して残りやすい歯の部位に対して適切な口腔ケアを実施することで、確実に口臭を予防・改善 することができます。過去の調査によると、自分で歯磨きできる要介護高齢者では、歯に着いた歯垢の50%位しか磨けていないことがわかっています。 そこで今月は、『口臭を予防・改善する歯の磨き方』についてお届けしたいと思います。

口臭の発生源 舌苔とは・・・

舌苔とは舌の表面に無数にある舌乳頭という突起の溝に、剥がれた粘膜細胞や食べかす、細菌が溜まって白く苔のように見える汚れです。舌苔は口臭 の無い健康な人にも付着しているものなので、それ自体が病気ではありませんが、口臭がある場合は主な発生源となっているので、適切なケアが 必要です。口腔カンジダ等の病気と判別するために、初めは歯科医師へ相談することをおすすめします。

必要なら舌苔ケアを!

舌苔ケアの基本は、舌清掃具を使って汚れを取る機械的清掃です。 歯ブラシでも舌苔を落とすことはできますが、舌を傷つけることがあるので、市販の舌苔ハブラシを使用します。うがいが困難な寝たきりの方や 口腔粘膜のケアが必要な方なら、スポンジブラシやガーゼを用いると便利です。昼間の口臭を予防するために1日1回、朝食後に舌苔ケアを行うと効果的です。

歯垢を磨き残さないのが大切

歯垢が付着しやすい歯の部位は、
①歯と歯ぐきの境目
②嚙み合わせる面の溝
③歯と歯の間
です。特に歯と歯ぐきの境目は、歯周病菌が増殖してきつい口臭の原因となります。磨き方のコツは、 歯ブラシをゴシゴシと強く当て大きく横に動かすのではなく、磨きたい部位に軽く当て、細かく左右に振動させるように動かすことです。
また
④部分入れ歯を掛ける歯や孤立歯
は、柄の先端が円すい状のタフトブラシを使って、のどの奥側の面をきちんと磨きます。 歯垢は歯と同じような白色なので普通は気付きませんが、歯磨き後に赤く染め出して確認しておけば、いつも磨き残してしまう部位に 注意を払うようになり磨き残しが減ります。歯科衛生士に口腔内状況に適した歯の磨き方を習っておくことはとても重要です。

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